命の歩幅は透明で、

息の形が優しい夜明け、

落下しない言葉であなたを話して。

詩「息の形」

空気の値段を知らないまま、

月面の味を知らないまま、

わたしは簡単に、

大人になってしまった。

詩「大人」

泡のような青が弾けてしまっても、

死んでしまった肌色と季節を結んで、

あなたは、ただ、やさしい国を作って。

詩「青の国」

海の骨格に誘われて、
指先だけで水面を撫でる夜、
寿命とやさしさを引き換えに 嘘を知る。

詩「海の骨」

嘘が初めて鳴いた日に、
わたしの肌色は孤独になって、
漏れた吐息だけを真実として。

詩「エイプリル」

初恋の人の頭上には、
透明な輪っかが浮いていて。
それを愛おしいと囁くわたしは、
きっと明日も 命のままで。

詩「halo」

夜と肌色をドレスにして、
誰もいない街の上を踊りながら、
わたしは、「生きている」と叫ぶのです。

詩「夜と肌色」

夏を 背中から生やしたって、
月を 唇から零したって、
わたし、神様になれなかった。

詩「神様に、」

この世界の小指と目が合う夜明け、
呟いた言葉があなたの手前で落ちる季節に、
ただ、骨の柔らかさと触れ合って。

詩「柔らかい骨」